高校といえば、青春。
青春といえば、やっぱ部活っしょ!























青春の背番号!No.04























「ねー、梓ー・・・部活決めた?」

昨日の生徒会主催の新入生歓迎会でもらったチラシに目を配せながら、
あたしは隣を歩いている梓に声をかけた。

桜の花も散り始め、新入生たちもだいぶ新しい環境に慣れてきた頃。
そろそろ生徒たちは部活探しを始めている。

こうして校門をくぐると、上級生たちが部活勧誘のチラシを配っている。
あたしも梓もそれを丁寧に受け取りながら、校門から玄関までの道を歩く。


「部活ー・・・?まだ、かなー・・・」

梓はチラシに向けていた視線をあたしに移す。
そして、少しだけ考えた素振りをすると、曖昧な返事をした。

「あ、一応めぼしいのはあるんだ?」

あたしが尋ねると、

「まあ」

と、苦笑した。

「何で苦笑?」

微妙なその反応に、あたしは首を傾げる。

「・・・なんか今年出来たばっかりらしくて、部員は一年ばっかりらしーんだわ」

「へぇー!」

「今日の放課後にでも見学行くつもり」

「そっかー。あたしも適当にふらついていこうかな」

「そうすれば?帰り時間合わせて一緒に帰れるし」


梓は、そう言って、ニッコリと笑った。

「・・・梓ってさ、さりげなく紳士だよね」

あたしは梓のその笑顔に、ほんの少しだけ顔が熱くなったのを感じた。
な、何照れてるんだ、あたし!


「や、ほら、春は変出者も多いし!」

梓もあたしにつられるようにほんのりと頬を染める。

「うん、そだね!ありがとー」
















教室の前で別れると、あたしは出来たばかりの友達たちに声をかける。
そして席に着くと、入学して早々席替えをして隣の席になった泉孝介くんに挨拶をする。

「泉くんおはよー」

「はよ」

泉くんは眠そうにあくびをしながら答えてくれた。

「眠そうだねー」

「もうこの席、最高すぎ。寝放題じゃね?」

「あはは確かに!」

席替えはくじ引きだったんだけど、
あたしは一番窓側の後ろから二番目という席をゲットした。

そして、その隣の席の泉くんは窓側からと後ろからも二番目という席。
一番後ろというのは寝ていると案外先生の目に留まるものである。
が、そのひとつ前となると、意外に見つからないものだ。

泉くんは普段は授業中に寝るなんてあまりしないのだけど、
先生の無駄話とか、授業から脱線すると「きた!」と言わんばかりに眠る。
そして、授業が再開すると不思議と起きていたりする。
隣に目配せするたびに、あたしはそんな泉くんに軽く感動を覚えていた。

(・・・なんていうか、器用、だよね・・・)



しばらくして担任がやって来て、ショートホームルームをする。
諸連絡をして、それが終わる。

一週間もたてばいい加減慣れる日常である。













退屈な授業が終われば、今日は部活見学に行く日!

梓に何時ぐらいに終わるかメールをすると、 あたしはとりあえず片っ端から見学に行くことにした。
チラシを見ながら、近場から回って行こうと、歩く。





!!」

ざわついている廊下で、一際大きな声であたしの名前が呼ばれた。
何事かと思い振り向く。


「え、ち、千代!?」

ー〜〜!!」

振り向いた向こう側から、すごい勢いで人ごみを掻き分け走って来ているのは篠岡千代。
あたしの中学時代からの友人だった。

ガバッとあたしに抱きついてきた千代をあたしは受け止める。
千代とは背丈も大体一緒だから、受け止めるのは結構大変だった。

「ど、どうしたの、千代?」

あたしが戸惑いながら尋ねると、

「どうしたのじゃない!」

と、千代はあたしをギッと睨んだ。
その瞳に一瞬たじろいでしまったが、千代の目じりにうっすら涙がたまっていて、
あたしは目を大きく見開いた。


「え、あ、あたし、何かした・・・?」

全くわからずに首を傾げるしかないあたし。
千代はそんなあたしを見て、ふうと大きく溜め息をついた。

「あのねぇ、!」

「うん?」

「私、が西浦来てるって知らなかった」

「ああ!そういえば千代も西浦だったんだね!」

「すれ違ったとき、もしかしてって思ったんだけど、本当にだった!!」

「・・・・・・うん・・?」

「もー!っていつもそう!」

千代はハァと大きな溜め息をついた。

「同じ学校行くんだったら教えてよー!」

ぎゅうと抱きつく千代に、かわいいなーと思いながら頭を撫でる。

「あはは、ごめんごめん」

「笑い事じゃないしー!!」

怒っているらしい千代。
まあ、怒ってても千代は可愛いからあんまり怖くないんだけど・・・
そんなこと言ったら、おそらく口利いてくれなくなるんだろうな。
心の中で苦笑しながら、あたしはうまく会話を逸らすべく、次の一言を考えていた。





「あ、そういえば千代は、部活決めた?」


上手い一言が見つかったと思う。
千代は、あたしから離れるとパッと表情を変えた。

「うん。野球部のマネジやろうと思ってる」

ニッコリと笑う千代。

「そかー。高校野球好きだもんなー、千代は」

あたしも笑い返せば、千代はちょっと考えた後、

「・・・がソフト続けるって言うなら、ソフトもやりたいけどー・・・」

と言った。
あたしも千代も中学時代はソフトボールをしていた。

あたしはセカンドで千代はショート。
二人で鉄壁の守備を誇っていて、
埼玉のソフト界ではそこそこ有名だったとかそうじゃないとか。


「えへ。続けるつもりはないかな」

「やっぱり」

千代の何度目かの溜め息。

「・・・でも、に会えてよかった!」

それからにこっと笑うと、
千代は「じゃあ、私、野球部行ってくるね!」と、走り出した。

あたしは手を振りながら、それを見送ると、
当初の目的、題して部活見学巡りの旅に行くことにした。















「・・・ソフト、バスケ、バド、書道、吹奏楽、語学・・・・・・」

色々見学に行ったけれど、どうもしっくりこない。
この際、帰宅部でもいいかなー・・・

時間だけが過ぎて行き、梓と待ち合わせている時間になった。

?」

うーん・・・とうなっていると、梓がやって来た。

「お、梓」

あたしは片手を上げてそれに答えると、立ち上がり、梓のそばに駆け寄る。


「部活見学はどうだった?」

梓が尋ねる。
あたしは曖昧に返事をすると、「梓はどうだった?」と逆に尋ねてみた。

「・・・お、おお。甘夏が・・・な・・・」

すると、梓の顔がほんの少しだけ青くなった。


「お、女って・・・」

どうやら、何かあったようだ。












「「はぁー・・・」」











あたしと梓の溜め息が重なった。












07/05/12
ほい、おいしい設定その3!泉きゅんの隣!
おいしい設定その4!千代ちゃんと同中!
(というわけで阿部や栄口くんとも同中ということになります)


個人的趣味に走ってばかりでどうもすみません。