阿部の姿を見た時の、のあの表情。 あの二人のぎこちなさ。 それを見た時、俺は何となく胸がむかむかとしていた。 それと同時に、俺とは出会ってからまだ一ヶ月足らずであることを思い出した。 ・・・もう、何年も前から知っているような気がしていたけれど、 実際はがどこの中学なのかも、以前どんな生活をしていたのかも、 何も知らなかったんだ。 青春の背番号!No.08 合宿所は、ボロイ家だった。 「うわー・・・すごー・・・」 バスから降りると、目の前にあったボロイ家に、皆同じような反応を示す。 俺の隣にいたも同じで、目を大きく見開いている。 「ね、雰囲気あるね!」 と、何故かその表情は少しだけ嬉しそうだ。 「・・・なんか楽しそうだなー・・・」 俺が言うと、は「もちろん!」と、ニッコリ笑う。 「合宿ってだけでワクワクなのに、何かありそうな家!」 「おー!もそう思う!?」 会話に割り込んできたのは田島だ。 「俺も、マジ楽しみ!!」 俺はそんな二人を苦笑しながら見つめていた。 と、ふとこちらを見ている視線を感じた。 ちらりとその方向を盗み見れば、・・・阿部、だった。 (・・・・・・なんなんだ・・・?) のあの様子に、阿部のあの表情。 あの二人の間に、何があったのかとまた考えた時、 おさまっていた胸のむかむかが、また俺を襲った。 俺たちはマネジとは別行動で、掃除を始める。 「なあ、花井とってホントに知り合い程度なわけ?」 布団を干していると、電球を片手に持っていた泉が不意に話しかけてきた。 俺は内心ドキリとしながらも、それを悟らせないように平静を装う。 「ああ。そうだけど・・・」 そう答えると、泉は「ふーん」とちょっと考え込むと、 「にしては、仲良さげだったよな。バスの中とか」 「・・・そ、そうか?別に普通じゃねぇ?」 泉は俺の答えに泉はまだ少し何か言いたげだったけれど、 俺がこれ以上何かを言わないことを感じ取ったらしく、話題を変える。 「それにしてもさ、阿部と、絶対なんかあったよな」 「・・・お前もそう思った?」 俺は思わずに眉を寄せていた。 そんな俺を見た泉は、俺の服の胸元をグッと掴み、自身の方へ引き寄せる。 そして、ボソッと小声で、 「・・・気になってるだろ?」 と、言った。 「なっ!?べ、別に・・・」 「、かわいーもんな」 「・・・〜〜な、なんなんだよ!」 顔が不意に熱を持ったのがわかった。 泉はニヤリと笑うと、 「・・・花井、のこと好きだろ?」 と、言った。 「は・・・?」 俺が、を、好き? 考えた瞬間、顔の熱が全体に広がっていくような妙な感覚に陥った。 「他のヤツには黙っててやるからな」 泉はニヤリと笑い、俺の肩をポンと叩くと、その場を去っていった。 取り残された俺は、呆然としているしかない。 体全体が熱を持ってるみたいに熱い。 俺が、を好き・・・? を恋愛対象に考えたことなんてなかった。 そ、そりゃあはいいヤツだよ。 優しいし、気遣いも出来る。 笑うと可愛いと思うし、守ってやりたいとも思う。 ・・・俺の名前をいい名前だって言ってくれたのは、正直かなり嬉しかった。 阿部との関係がかなり気になる・・・ けれども、それは、家族の一員としてなんじゃないかって思ってた。 ・・・違うのか・・・? のことをもっともっと知りたいって思うのは・・・ このモヤモヤとしていた気持ちの正体は・・・ ・・・つまり、そういうことなのか・・・? 「〜〜わかんねぇー・・・」 俺は頭を抱え込むと、その場に座り込んだ。 考えても頭がごちゃごちゃになっていくだけで、俺自身わからない。 「花井、手、止まってるぞ」 突然聴こえたシガポの声に俺ははっとすると、また布団をバシバシと叩く。 (・・・わかんねぇもんはわかんねぇんだよ・・・) 俺はやり場のない気持ちを布団にぶつけた。 花井自覚編? 要はお互いに惹かれあってるんだって言うのを伝えたい。 文才が欲しい・・・ |