合宿二日目の朝は、昨日と同じようないい天気だ。 ・・・まあ心の中に突っかかるものがないといえば嘘になるが、 俺は爽やかな朝を迎えていた。 青春の背番号!No.13 朝、俺は皆より少し早くに目が覚め、一人洗面所にいた。 「・・・あーずさ!」 「どわっ!?」 顔を洗い、タオルで拭いていると、誰かに背中をドンと押された。 俺を名前で呼ぶやつは、この合宿所には一人しかいない。 「おはよ!」 「・・・・・・」 「ボーっとして、どーしたの?」 「や、べ、別に、まだ起きたばっかだからな・・・」 「・・・そう?」 俺は、ニコリといつもの笑顔を向けるに何となく違和感を感じた。 いつもと同じようなのに、どうしてだろう。 「・・・俺より、お前のが変じゃねぇ?」 その感じた違和感をそのままにぶつけてみる。 「・・・そ、んなことないって」 すると、から返ってきた答えは、明らかに『何かありました』という返事。 笑顔から感じた違和感は、多分、いつもより少しだけ笑顔がぎこちない感じがするからだ。 「・・・言いたくねぇんなら、無理強いはしねぇけど・・・」 俺が苦笑しながらそう言うと、の目が大きく開かれた。 「え、何・・・?」 どうしたのかと首を傾げると、は、 「・・・な、何で梓にはわかっちゃうんだろう・・・」 と、ポツリと言った。 「は?」 「・・・梓は、すごいね・・・!」 は苦笑しながら、観念したように話し始める。 「・・・うん、ちょっと悩み事あるんだ」 「・・・悩み事・・・?」 何となく、それが阿部と何か関係があるんじゃないかと思って、俺は内心どきりとしていた。 「・・・うーん・・・けど、大丈夫!そんな大したことじゃないし」 しかし、は悩み事があることしか告げず、肝心な内容はわからずじまいだ。 「・・・そっか。けど、しんどくなったら話せよ?」 「・・・え・・・」 「や、だって話すだけでも楽になっかもしんねぇし。俺、の力なりたいし」 「・・・あ・・・う、うん」 は、心なしか顔を赤くしながら頷いた。 ・・・そんで俺は、言ってから、ハッとなった。 (何恥ずかしいことさらっと言ってんだよ・・・!) 俺の顔もつられる様に赤みを帯びる。 「あ、んじゃ、そういうわけだから・・・俺、他のヤツ起こしてくるわ」 「あ、う、うん。いってらっしゃい」 お互いに少しだけぎこちなさを残したまま、俺は逃げるようにその場を去った。 ・・・何でこんなに気になってしまうのだろう。 『・・・花井、のこと好きだろ?』 昨日、泉に言われた言葉が頭をかすめる。 そして、自分でそれを首を振って打ち消す。 ・・・ただ、あいつは家族みたいなもんだから・・・。 (・・・・・・・・・家族・・・?) な、何だろう。 『家族』という言葉に、違和感を感じてしまう。 「あれ、花井。早いね」 「お、栄口。はよ」 部屋に戻ると、栄口が着替えを済ませて気持ち良さそうに伸びをしている。 「俺、顔洗ってくるから、そしたらこいつら起こそうぜ」 栄口は苦笑しながら周りにすごい寝相の奴等を見渡した。 「おー、了解」 俺はその栄口の言葉に同意すると、 とりあえずゴチャゴチャとしていた思考はここで一旦停止させ、 寝ている奴等の合間を抜けると、窓を開けた。 栄口が戻ってくると、二人で残りの奴等を起こしにかかった。 なんとか全員を起こし終え、皆を洗面所に行かせると、残ったのは言わずもがな俺と栄口。 「ところで、花井」 皆がいなくなるのを確認すると、栄口がつつとこちらに寄って来た。 「・・・な、なんだよ・・・」 俺はそんな栄口に2,3歩後ずさりながらその呼びかけに答える。 「俺、朝見ちゃったんだけどさ、花井ってやっぱりと何かある?」 「は!?な、何を・・・!」 「やーだって、朝に二人だけで居てねー・・・」 「そ、それは偶然・・・!」 「俺が見えたのは二人の横顔だったけど、なぁんか赤かったし」 「や、べ、別にそんなんじゃ・・・!」 なんとか誤魔化そうとするものの、わずかに熱を持っている顔を栄口は見逃さなかった。 「俺、と同中なんだよね」 「・・・それは、知ってっけど・・・」 急に何を話し出すのかと思えば・・・と思いながらも俺は答える。 「んで、とは2年間同じ委員会だった」 「・・・え、」 その自分の反応に、「しまった」と思った頃には、既に手遅れ。 栄口はニヤリと笑うと俺の腹を軽くパンチした。 「花井、が好きだね?」 ボソッとそう言った栄口。 それと同時に、昨日の泉の言葉も頭をかすめた。 『・・・花井、のこと好きだろ?』 ・・・ああ。ヤバイ。 俺の頭の中で否定できなくなってる。 もう認めるしかないんだ、これは。 俺は、がすきなんだ。 自覚した瞬間、顔の赤みが一気に増す。 頭のてっぺんまで真っ赤になっている自信がある。 「・・・花井、カワイー」 隣で爽やかに笑う栄口に、とりあえず一発喰らわせておいた。 自覚してしまった、花井少年。 |