・・・俺、ヤベェよ。



俺は自分の命も十代目に捧げた身だ。
十代目のために死ねるのなら、本望だとずっと思ってきた。



けど・・・。

すみません、十代目。



確かにあなたは大切です。


でも、俺、あなたと同じぐらい
――いや、もしかしたらあなた以じょ・・・いやいや、そんなはずはない。




とにかく、大切だと思える人が居るんです。
・・・・・・そ、そりゃあ、まだ、俺の一方通行ではあるんですけど。

















すれ違いはいつまで続く

















あ、噂をすれば、さんだ。

俺がさんを知ったのは、割と最近だった。十代目のお友達らしい。
俺は、そのときは別に何も思わなかった。

けど、さんの笑顔を見た瞬間、自分の鼓動が早くなったのがわかった。




・・・さんのあの笑顔が見られるのなら、俺は何でも出来ると思う。





さん!!」

「!ご、獄寺くん」


俺が元気よく手を振りながらさんに呼びかけると、彼女は驚いたようにこちらを見た。

「おはようございます!」

「お、おはよう」

「今日もいい天気ですね!」

「そだね・・・」

俺が話し掛けると、さんは視線をそらす。
おどおどとした動作がまた可愛かったりする。







けど・・・。




「あ、京子ちゃん!おはよう!じゃ、じゃあ獄寺くん、ま、またね」

さんは友達を見つけると、そそくさと俺のそばを離れてしまう。




はじめのうちは全然気になんなかった。

でも、さすがに気づく。












さんは俺を 避 け て い る 。













ずんと重くなる俺の心。
・・・ああ、さん。俺のことが嫌いなんですか・・・。













重くなる足取り。
十代目を見かけて、少しは回復したものの、胸のつかえは取れない。

「はぁー・・・」

もちろん授業なんてきく気にもなれなくて(どっちにしてもほとんどきいてねぇが)
溜め息ばかりが出る。


早く放課後になればいい。さんの顔が見てぇ。

















放課後、俺は十代目にあいさつを済ませると、さんを探しに出かけた。
一目見てから帰ろうって、それだけだったんだけど。



さんはグラウンドの影の人目の付かないところで見たことねぇ野郎と二人きりで居た。
さんならどんなに遠くに居ようと見つけられるのが俺の特技だ)


こ、これは・・・もしかしてもしかしなくても告白と言うやつじゃねぇか!?


そっと物陰に隠れて会話を盗み聞きすると、
どうやら野郎がさんに告ろうとしているらしい。
さんはそういうのに関してちょっと鈍い傾向があるから、
野郎にきょとんとした表情を向けたまま。









・・・どうする、俺!?




さんをこんな野郎に取られていいのか!?
いや、絶対嫌に決まってんだろ!?



心の中で繰り広げられる俺会議。
けど、野郎が口を開いた瞬間、体が勝手に動いていた。


「おい、テメェ!!」

俺の声に二人の肩がビクリとなった。

「・・・さんに何してる?」

ツカツカと二人の前まで歩みを進めると、俺は、さんと野郎の間を割って入った。

「何って・・・べ、別に何も・・・獄寺には関係ないだろ・・・!」

野郎があわてた様子で言う。







「関係あるつってんだよ!!俺はさんが好きなんだからな!!」




カチンとなった俺は、考えるよりも先に、言葉が出ていた。




「・・・・・・え・・・」



少し間をおいて、さんの目が大きく見開かれる。
いつの間にか、野郎の姿はなかった。



「あ、え、えと、その、これは・・・」

俺は自分が言ってしまったセリフを思い出し、顔が熱くなった。

こんなつもりじゃなかった。
さんが俺を避けてるってこと、知ってるじゃねぇか・・・!
今告白しても振られるに決まってんだろ・・・!?


こんなにも自分で自分を殴りたいと思ったのは初めてだ。

俺は言葉がもうこれ以上出てこなくて、どうしたものかとあたふたしていた。









「・・・・・・ぷっ」



また、少し間をおくと、さんがクスクスと笑っているのが聞こえた。
ポカンと彼女を見つめていると、さんは、

「・・・獄寺君って面白いね」

と言いながら、目じりに涙を溜めて笑っている。


・・・俺の告白を、彼女はもしかして冗談か何かだと思ったのか・・・?

それはそれである意味悲しい、なんて考えていると、
不意に彼女の笑顔が変わり、俺に優しく微笑んだ。



「・・・獄寺君のこと、怖い人だと思ってたんだけど・・・違うんだね!」

「・・・え・・・?」

「・・・あたしが困ってたの、助けてくれたんだよね?」


実は、俺が目撃したとき、野郎はすでにさんに告白をしていたらしい。
さんは、告白をされたのなんか初めてで、ただきょとんとしていたようだ。
対処に悩んでいた彼女に、俺が助け舟を出してくれたと彼女は受け取った。

・・・というわけか・・・。







「獄寺君、ありがとう!」


俺に向かって初めてニッコリと満面の笑みを浮かべる彼女に、
俺は告白が流されたことなんかどうでも良くなってしまい、


「とんでもないッス」


と、さんに笑顔を返していた。








そして、これをキッカケに、さんは俺を避けなくなった。
「結果オーライ」とは、このことを言うのだろう。







07/02/10
初獄寺夢です。ちょっと不完全燃焼・・・です。
うーん・・・獄寺君って難しいですね・・・