そっか。 すっかり忘れてた。 もうすぐ、バレンタインなんだっけ。 は じ め て の バ レ ン タ イ ン 実はあたしは今まで武にチョコをあげたことがない。 なんとなく照れくさかったから。 ・・・というか、あたしはバレンタインという行事に関してかなり無頓着であった。 ・・・けど、今年は・・・ せっかく武とこういう間柄になったんだから・・・あげたほうが、いいよね・・・? そう思って、あたしは昨日、チョコ作りに励んでみたりした。 お母さんがやけに協力的だったことは、あたしはあまり気にしないことにする。 そして、なんとか出来上がったチョコ。 出来栄えはいたって普通。 ラッピングされたチョコをカバンに忍ばせて、あたしは学校へやって来た。 「おはよう、ー!」 「あ、。おはよ」 教室へ入るなり、女の子たちがいつもより元気なことがすぐにわかった。 クラスで一番仲のいいもちょっとピンクのオーラが漂っている。 こういう女の子って可愛いよね。 あたしはほほえましくそれを見ていた。 「は山本君にあげるんだよね?」 「ん・・・ま、まあ・・・」 「きゃー!が照れてる!!可愛い!!」 がそう言ってあたしに抱きついてきた。 そして、その声にクラスメイトの何人かが振り返る。 「いっつも友チョコすらめんどくさがるが!!」 「ってそういう子だったんだね!」 ・・・と、からかわれる始末。 「あたしたちにはくれないのに」と、言いながらも顔がニヤリと笑ってる。 「・・・あーいいのかなー!今年はみんなの分も作ってきたんだけど」 カバンのスッと手をしのばせる。 それに友達たちはビクリと反応。 そう。武だけに渡すっていうのもなんとなく気が引けるというか・・・ きっと友達たちも作ってくるんだろうと思って、友チョコと義理チョコもついでに作った。 「様ー!!」 「のチョコ!」 友達たちはすぐに猫なで声に変わる。 現金だなーと思いながらも、 あたしは彼女たちが大好きだったから笑いながらみんなにチョコを配った。 きっと隣のクラスへ行けば、武がたくさんの女の子からチョコを貰ってるんだろうな。 ・・・武の性格からして、断れないだろうし・・・。 そう思うと、ちょっとズキリとして、 あたしは隣のクラスの様子をうかがうことすらしなかった。 ・・・あたしが今までに武にチョコをあげなかった理由って、 実は武がたくさんの女の子からチョコを貰ってるからなんじゃないかな、と、ふと考えた。 毎年、武のチョコを分けてもらって食べていたことを思い出す。 きっとあたしは心のどこかでこの女の子たちと一緒になっちゃうのが嫌だったんだと思う。 きっと、気付かなかっただけで、武にとって特別な存在になりたかったんだ。 一人でそこまで考えて、顔が赤くなってしまう。 「どうしたの?」とに言われて 「チョコ食べ過ぎたかも」なんて適当に言ってごまかした。 放課後、 「よっし、送信完了」 あたしは武にメールを送ると、携帯を閉じる。 この時期は野球部の練習を見学するのは寒くてちょっと・・・いや、かなり嫌だった。 だからあたしは武に教室で宿題でもしながら待ってる旨をメールした。 始めのうちは、も一緒に宿題をしていたんだけど、 は予定があるようでしばらくして帰って行った。 野球部の練習もあと30分くらいで終わるかなぁ。 なんて思いながら、迫り来る眠気と対決をしている。 「・・・あ、あの・・・さん・・・」 「・・・はい!」 眠気を一気に吹き飛ばされ、ハッとすると、そこには顔見知り程度の男の子が居た。 確か、武たちと同じクラスの人・・・だったよね・・・? 前に武に用事があってクラスに行ったときに少し話をしたことがあったはず。 ・・・栗原君、だったかな・・・? 「・・・どうしたの?」 首を傾げると、栗原君はちょっと俯いて、頭をかいた。 「あーっと・・・さんさ、山本と付き合ってるって本当?」 「え!・・・あ、うん・・・」 「・・・そ、うなんだ・・・」 「??栗原君?」 なんだか意図がつかめなくて、もう一度彼を呼びかける。 栗原君はパッと顔を上げると、 「あのさ、俺・・・!」 「ー!」 言いかけた所で、ガラッと教室のドアが開き、武が練習を終えてやってきた。 武は若干息が切れているみたいだった。 「あ、武」 「悪い、遅くなった!」 「へ?全然いつもどおりじゃない??」 むしろいつもより早いくらいなのに、どうしたんだろう。 ちょっと不思議に思ったけれど、栗原君が何か言おうとしていたことを思い出して 「・・・栗原君、どうしたの?」 と、尋ねた。 「あ、いや、なんでもないんだ!んじゃ、また明日!山本もな!」 栗原君は焦っている様子であたしと山本に挨拶をすると教室を抜け出した。 「おー」 「バイバイ・・・?」 残されたあたしたちは、しばらくポカンとしていた。 「・・・栗原のヤツ・・・」 「・・・・・・・・・?」 ボソリ、と武が言った言葉の意味は、あたしにはさっぱりわからなかった。 「それより、早く帰ろうぜ」 「あ、うん。そだね」 あたしは広げたままの教科書類を片付け、カバンの中に入れた。 そしてその時、カバンの中のチョコの存在に気付く。 (危ない・・・!このまま渡しそびれるところだった!) あたしはそれを手に取ると、武の目の前に突き出した。 「・・・はい、コレ・・・」 武にチョコをあげるのは、前にも述べた通り初めてのことで、あたしは妙に緊張した。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 武は無言のまま、あたしが頑張ってラッピングしたチョコを見つめている。 「・・・・・・武?」 無反応が何とも心細くて、あたしはちょっと心配になった。 「・・・・・・俺、なんかスゲェ感動してる・・・」 「・・・え?」 武はそう言うと、あたしを抱き締めた。 な、ど、どうしたんだ・・・? 「・・・俺、今までからチョコ貰ったことねえじゃん・・・」 「・・・そうだねぇ」 「だから、今年もきっと貰えねぇんだろうなって思ってたのな」 「・・・・・・うん・・・」 「っはぁー!!不意打ち!」 ぎゅうっと、抱き締める力が強くなる。 まさかチョコひとつあげただけで、こんなに喜んでくれるとは思わなかった。 心の中がほわんとあったかくなる。 「・・・でも武、毎年いっぱい貰ってるじゃん・・・」 ちょっとした嫉妬をこめてあたしがそう言うと、 「のはマジで全然違う。別物!」 と、武は返した。 それにまた、あたしは嬉しくなってしまう。 あたしも武の背中に腕を回した。 少しして、腕の力が弱まる。 あたしが上を見上げれば、武からの優しいキスが降ってきた。 生まれて初めて、バレンタインも悪くないかな、なんて感じた。 07/02/17 ちなみに栗原君とは、復活!JC第1巻のP108の2コマ目の ツナの後ろでテスト見ながらひどい顔している人です。(推定) 山本は教室の中に居るヒロインと栗原君の姿を見つけて、 すごい焦って教室までやってきていたのです。 そして山本は栗原の用事を知っていたのに、あえてしらばっくれてます。 最近、なんだか書く文章とか展開とかがマンネリ化してきてます・・・ 早速ネタ切れですか(爆) |