小さいころは、二人で手を繋いで帰ってた。
泣きべそかいてるツナを引っ張って、「大丈夫だよ」なんて慰めながら。





けど、いつからだろう。

いつのまにか、手を繋がないで帰るようになって、
いつのまにか、一緒に帰ることもなくなった。


それでも、ツナは朝が弱いから、朝はツナの家によってから学校へ行ってた。
ツナは朝が弱いから、なんて、あたしの勝手な理由付けなんだけどね。


けど、それすらなくなった。

獄寺隼人とかいう転校生が来てから。




・・・だって、朝の弱いツナに迎えに来てくれる人が他にできたんだもん。
あたしの出る幕なんて全然なくなっちゃう。


(だから、あたしが獄寺君に軽く殺意を持ってることなんて当たり前なのです。)























君 と 僕 の 共 有 時 間






















「十代目!おはようございます!」

「ご、獄寺君・・・おはよ」


朝、ちょっとだけ寝坊しちゃったあたしはいつもより遅く家を出た。
そしたら、丁度ツナの家の前で、ツナと獄寺君と鉢合わせ。


あたしの家は、ツナの家の4軒隣。
だから、登下校時には必ずツナの家の前を通らなければならない。
・・・それが、今のあたしの憂鬱。

せめてあたしの家が、ツナの家よりも中学に近ければよかった。






・・・けどこれは半分嘘。

あたしはツナの家の前を通るとき、ちょっとだけドキドキしてた。

もしかしたら、今日はツナ、珍しく早起きするかもしれない、なんて。



まあ、そこはさすがダメツナと呼ばれてただけはあってなかったんだけど。












とにかく、ついてない。
なんだって朝からこいつらに会わなきゃいけないんだ。


「あ、・・・おはよ!」

ツナはあたしに気づいて、ニコリと笑った。

「・・・おはよ・・・」

あたしはそっけなく答えると、すたすたと先を急ごうとした。





「・・・・・・おい」

けれど、二人の前を通り過ぎようとしたとき、獄寺君から腕を掴まれた。
そして、同時に聴こえてきた、低い声。


・・・この、獄寺隼人という人間は、ツナ以外にはどこか冷たい。

そして、ツナに対してちょっとでも冷たい態度をとろうものなら、
その冷たさも絶対零度にまで達する。



「・・・なんですか」

あたしは、その低い声に冷や汗が出たけれど、
それを悟らせないようになるべく普通に答えた。


「・・・十代目が挨拶してんのにその態度はねぇだろ」

「・・・あなたには関係ないでしょ」

睨まれて、本当はとても怖かったんだけど、あたしは頑張って強気で向かった。
ピクリ、と獄寺君の眉が動く。

あたしはそっと唾を飲み込んだ。





「関係ないだと!?俺は十代目の右腕になるんだ!大いに関係ある」





声を大きくして、怒鳴った獄寺君。

朝っぱらから近所迷惑この上ない。
けれど、この際、このことは全然気にならなかった。



そして、カチン、とあたしの中の何かが音を立てた。



「何よ!!突然やってきてあたしの居場所奪ったくせに!!」

キッと、獄寺君を睨んだ。
けれど、ヤンキーな獄寺君がそれくらいで怯むわけがない。

「はあ!?意味わかんねぇ」

獄寺君は前よりもずっと鋭く、あたしを睨みつける。
それでも、もう頭の中には恐怖だとか近所迷惑だとかそんな感情は一切なくて、
あたしは負けじと視線を鋭くした。







「そこは、あたしのいる場所だったのに!!」












泣きそうになるのをこらえて、あたしはまた叫んだ。

そしたら、今まで唖然とあたしと獄寺君のやりとりを見ていたツナが、すっと動くのが見えた。




「・・・獄寺君、の腕、離してあげて」

ツナがそう言うと、獄寺君は「でも・・・」と抗議の声を小さく上げた。
けど、もう一度「いいから、離して」と、ツナにいわれると、おとなしくその手を離した。

「それから、先に学校行っててもらえるかな?」

「・・・それは!できませ・・・」

「俺は大丈夫だから」

強い口調でツナが言うと、「十代目がそうおっしゃるなら・・・」と、
しぶしぶ学校へ向けて歩き出した。



かなりな力で掴まれていたらしく、あたしの腕はジンジンと少ししびれている。







あたしが、自分の腕をチョット気にしていると、
ツナがいつのまにかあたしの前に立っていた。



「・・・何よ・・・」

あたしは相変わらずのそっけなさで答えた。
けれども、ツナはそれを気にする様子は全くなくて、















それから、あたしをぎゅっと抱き締めた。

















いつのまにか、あたしよりも高くなっていた背。
いつのまにか、たくましくなっていた腕。


あたしは、ツナに抱き締められて、こらえていた涙が頬を伝った。







「・・・、ごめんね」

優しいツナの声に、あたしは何故だかすごく安心した。


「・・・なんで、ツナがあやまるの」

「俺、に迷惑ばっかりかけててさ・・・」


ツナは、ハハッと力なく笑った。
そして、すぐに

「朝、迎えに来てくれなくなったとき、ついに見離されちゃったんだって思った」

と言った。


すぐ耳元で聴こえてくるツナの声に、心臓がドキンドキンと大きな音を立てる。
ああ、やっぱりツナは男の子なんだなって。


「・・・そんなこと、ない・・・・・・」

「うん。俺の勘違いだったね」

そう言うと、ツナの抱き締める力がまた強くなった。


「良かった、俺、に嫌われてなくてー・・・」






あたしは、しばらくの間、ツナの腕の中でおとなしくしていた。

どのくらいの時間が経ったのかはわからない。
とても長く感じたのだけれど、実際の時間にしてみれば、そんなに長くはなかったと思う。


ツナはあたしを抱き締めていた腕の力を弱め、
そして、視線をあたしに合わせた。


そして、あたしの大好きな優しい声で、話し始めた。


「ここは、の居場所だから」


「・・・ここって・・・?」



あたしが首を傾げると、ツナはニッコリと、それは最上級の笑顔をあたしに見せた。






「・・・俺の腕の中」







かあと、顔が熱くなる。
あたしはそのまま思考が停止してしまった。


けど、ツナは全くもっていつもどおりで、「あっ」と声を上げた。
何事かと思えば、

「学校!完璧遅刻だよ・・・」

と、苦笑。

「・・・いいじゃん、どうせ遅刻しない方が珍しいんだし」

あたしが憎まれ口を叩くと、

には叶わないなー」

と、あたしの頭をくしゃっと撫でた。





「そうだ、。このままサボって遊びに行こう!」



ツナの笑顔に、あたしは首を横に振ることなんて出来るはずもなくて、
あたしたちは、手をとると、学校とは反対の方向へ走り出した。







07/02/18
過去拍手お礼文でした!
これは自分の中でも気に入っている作品です。はい。
ツナをかっこよく!をコンセプトに頑張りました。

まだまだ未発達な感じを込めて。
青春は、これから!