沢田綱吉はあたしの幼馴染。 幼馴染の上に、今じゃクラスも同じ、挙句の果てには隣の席。 これはもう腐れ縁以外になんと呼べばいいのだろう。 さえなくて、バカで、ドジで・・・・・・いいところなんて丸でなし。 そして、こんなヤツを幼馴染に持ってるあたしは、なにかととばっちりを受ける。 ド キ ド キ ! 本日の授業が締め切りだった英語の宿題。 この先生は宿題を忘れると、その倍以上はあるであろう課題を出すことで有名な先生。 皆、その課題が恐ろしくてこの先生の宿題だけは真面目にやってくるのだ。 そう、あの山本君でさえも、だ。 「・・・なんだ、沢田は忘れたのか」 ・・・・・・それなのに、あたしの隣の席の幼馴染は。 はぁあ、とあたしは思わず大きな溜め息をついてしまった。 昨日の夜、あたしはわざわざお隣さんにまで出向いて 宿題忘れないようにって教えてあげたのに。 教卓の隣で、ツナはしゅんとしている。 せっかく宿題をしたって、それを忘れちゃったら意味がない。 ツナらしいといえば、らしいけど。 「す、すみません・・・・・・」 「・・・それじゃ、課題出しておくから、昼休みに取りに来なさい」 「はい・・・」 ツナはがっくりと肩をおろし、トボトボと歩いてあたしの隣に戻ってきた。 あたしは小さく溜め息をつく。 (ツナ、ご愁傷様〜) 「あ、」 全員が提出を終え、先生はプリントをとんとんと整える。 それから、ふと思い出したようにあたしの名前を呼んだ。 「え、なんですか・・・」 ・・・何となく、嫌な予感がする。 「沢田だけじゃきっと終わらないだろうから、課題、見てやってくれ」 「え!なんであたしが・・・」 「隣の席だし、お前の英語の力は学年トップクラスだからな」 「・・・・・・嫌です・・・」 「どうせテスト期間中で部活もない。丁度いい機会だな!よろしく頼むぞ、」 「ちょ、あたしの意見無視っすか・・・」 ああ。 嫌な予感って、何で当たるんだろう。 「よ、よろしくね、・・・」 あははと力なく笑うツナに、あたしはイラッとして、ツナの机を蹴ってやった。 ビクッとツナの肩が大きく震える。 なんだってこんな日に限ってツナのいn・・・ ・・・おっといけね!獄寺君!は、学校に来てないんだろう。 放課後、あたしたちはいそいそと帰る。 なんてったって、課題の提出期限が明日なのだ。 あたしは一旦家に帰り、ラフな格好に着替えてからツナの家にお邪魔した。 奈々さん(あまりにも可愛らしく、おばさんと呼べない)に軽く挨拶をし、 ズカズカとツナの部屋に入り込む。 そして、ツナの部屋のあたしの定位置―ツナのベッドの上なんだけどね―に座る。 ・・・というより、寝転ぶ。 「んじゃ、あたしは読書してるから、わからないところあったら言ってね」 あたしの手には、友達から借りたマイブームの漫画。 「・・・・・・読書?」 「漫画も読書のうち!!」 ツナは苦笑すると、課題と参考書とにらめっこを始めた。 はじめること、約一分。 「・・・あ、あのさ・・・・・・」 「え、もう?今、いいところなの!もうちょっと粘って」 「・・・・・・(知ってる知ってる。はこんな子だよ)」 「こっちは奉仕活動なんだから文句言うな」 「(心読まれた!?)・・・・・・ハイ・・・」 本当なら、テスト習慣っていうのは、 普段部活の予定とかでなかなか一緒に遊べない子と遊ぶチャンスなのに。 おもりしてやってるだけありがたいと思ってもらわないとね! それから、ちょこちょこと質問してくるツナに、 あたしは(ベッドに寝転んだままだけど)優しく丁寧に答えてあげながら、 漫画本を読み勧めていた。 テスト前だったけど、漫画本を読みきらないと勉強に集中できないからね! ・・・さらに30分もたてば、漫画本読破。 ツナは相変わらず眉を寄せながら課題とにらめっこ。 手持ち無沙汰になってしまったあたしは、よっこらせとベッドから降りると、 ツナと向かい合うように座り、とりあえず勉強道具を準備する。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 けれども、全然進まなくて…むしろ進めるつもりもなくて。 あたしはじーっとツナの様子をうかがう。 あ、あれ?そういえば、背、伸びてる・・・? 男の子のクセに、目、おっきいなぁ・・・ てか、こんなにじっくりツナの顔を見たのって初めてじゃない? 「・・・あ、あのさ、…」 ボーっとそれを見ていたら、ツナが不意に顔を上げて、目が合う。 あたしはハッとすると「どこかわかんないとこあるの?」ときいた。 ツナは首を横に振ると、苦笑しながら、 「・・・視線が痛い・・・」 と、答えた。 あたしは、そのツナの言葉にドキリとしてしまった。 「・・・だ、だってさ・・・ツナ・・・何だかツナじゃないみたい・・・」 「・・・はい・・・?」 あたしが正直に言うと、ツナはポカンとした。 「・・・だって、背、あたしよりおっきくなってるし・・・」 「・・・・・・そりゃあ、俺だって成長するよ」 「・・・な、なんか、・・・男の子、なんだもん・・・・・・」 「・・・・・・え・・・ あたしは大きな溜め息を付く。 と、何故かツナの顔が真っ赤に染まっている。 「・・・ツナー?」 「・・・・・・ってさ、無自覚だよね・・・」 「はぁ?」 何だっていうんだ。わからん。 あたしが首を傾げると、今度はツナが溜め息をつく番。 「・・・ここ、教えて?」 トントンと、わからない箇所をシャーペンで軽く叩きながらツナがそう言った。 おかげで何のことを言っているのかきくタイミングを逃してしまった。 教え終わると、ツナは「ありがと」と短く言って、カリカリと問題に取り掛かる。 と、途中でその動きを止め、顔を上げた。 「課題終わったらジュースぐらいおごるよ」 そう言ってニッコリと笑うと、すぐに視線を課題に戻した。 「・・・・・・当たり前」 あたしはそっぽを向きながら、我ながら可愛げのかけらもない返事をする。 真っ赤になった顔を悟らせないように。 ((あれ、なんでこんなに心臓がドキドキいってるんだ!?)) 07/06/03 ふと気付いた、男と女の違い的な。 お互いにいつもと違う違和感を覚えてるんだけれど、その正体にはまだまだ気付かない。 中学生っぽい感じを目指してみました〜^^ |