「ジャポーネ、っすか・・・」


あたしはボスが発したその言葉に、ポカンとしてしまった。

















そ れ は す べ て 愛 す る が 故
















「・・・そうだ」

「・・・あたし、一人っすよね・・・?」

「当たり前だろ」

「・・・ですよねー」

突然ボスに呼び出され、ルンルン気分でボスの書斎へ入ったあたし。
そして、「任務で日本に行ってもらう」という言葉で、
一気にあたしの気分は地の底まで落とされた。


わ、わかってたけど!!
どうせボスがあたしを呼ぶときなんて、
仕事のときしかないなんてそんなことわかりきっていたけど!





「あたしはボスのお傍がいいなー・・・」


と、ぼそりと呟いてみた。
そしたらボスはすごい勢いであたしをにらみ付けた。

「ひぃ!!」

あたしは思わず出口となるドアまですごい勢いで後ずさった。
ボスはただでさえ目つきが悪いのに、睨まれちゃったら・・・

まさに、蛇ににらまれた蛙。




「冗談です!ボスのために行かせていただきまっす!」

ビシッとボスに向かって敬礼をした。

「つきましてはボスにお願いがあります!!」

「あん?」

「・・・ボスに、ぎゅーっとして欲しいのであります!!」

敬礼したままそう言うと、ボスは心底・・・
ええ、そりゃあもうすごく嫌そうな顔をした。

あたしのガラスのハートは傷つきましたさ。



「・・・な、なーんて、これもジョー・・・」

苦し紛れにそう言ったとき、
ふわり、とあたたかさで包まれた。


「・・・コレでいいか、カスが」

「・・・・・・は、はい・・・、」


こんなに近くにボスを感じるのは初めてで、あたしは顔が一気に真っ赤になった。

「・・・テメェがしろって言ったくせに、何照れてやがんだ」

ニヤリと笑うボスに、あたしはちょっとどもりながら

「だ、だって、ボスのキャラじゃない・・・」

と言い返した。
そしたら、ボスからは返事の変わりにすごい勢いで頭を殴られた。


「どめすてぃっくばいおれんす!!」

と叫べば、

「俺はテメェと夫婦になった覚えなんてねぇ」

と、また一発。



・・・こうしてボスに殴られて育ったあたしが、
どれだけ打たれ強い子に育ったのかは安易に想像できよう。

ウンウンと大きく頷いていると、

「俺はテメェを育てた覚えもねぇ」

と、ボスに呆れられてしまった。

心を読まれたか!?と、気を引き締めてみたところで
「全部口に出てんだよ」と、あたしは自分のアホさを嘆くしかなかったのです。









あたしはどうやらボスを怒らせることと呆れさせることが得意らしい。

これはヴァリアーの誰もが認めている。

・・・威張ることじゃないんだけどね。
あたしはこんなにもボスを慕っているって言うのに、どうしてか散々空回り。



・・・こんなのだから、仕事だからって日本に飛ばされちゃうんだよ。

日本って遠いよね。
時差ってどのくらいあるんだっけ・・・?

日本に行ったら、きっとしばらくは帰って来れないんだろうな。

・・・なんだか遠回しに『邪魔だ』って言われているような気がするな。



ずんと重くなるあたしの心。

ボスの書斎を後にして、あたしはトボトボと廊下を歩いていた。
出発までは、あと三日か・・・











「よお、どうした?」

心ここにあらず、みたいな感じで歩いていたら、後ろから急に声を掛けられる。
すぐに誰だかわかるから、あたしは振り向きながら、その声の主めがけて走った。

「スクアーロぉぉぉおお!!」

両手を広げて、抱きつこうとしたが、

「だー!触んなぁぁああ!!」

と、それはもうすごい勢いで払い落とされた。


い、痛い・・・
あたしは頭から転んだ。

「ひ、ひどいよ!スクアーロ!!あたしのぷりてぃな鼻が潰れちゃう!!」

鼻の頭をさすりながらスクアーロに抗議の声をあげる。
スクアーロはそんなあたしの可愛い冗談に全く耳を傾けない。
それどころか、

「俺の命があぶねぇんだよ!!」

と、すさまじい形相だった。


「??」

なんで、スクアーロの命が危ないんだ?
あたしがムム・・・と首をかしげていると、スクアーロは、

「・・・おま・・・本当にわかってないのか・・・?」

と、何だか少し哀れそうな顔だ。

ますますわけがわからない。



「・・・そんなことより、スクアーロ!きいてよ!!」

ハッとすると、ここはスクアーロに愚痴でもきいてもらおうと、また駆け寄る。

「おぉ・・・きいてやるから、俺に触んじゃねぇ・・・!」

嫌に必死にあたしから距離をとるスクアーロ。
正直、かなり傷付くんですけど。スクアーロのくせに。


「・・・そんなこと言うと、触りたくなるのが人間ですよ、スクアーロさん!」

ムカついたからスクアーロにわざと抱きついてやった。
そしたらスクアーロはすごい大きな声で叫んだ。

けれども、少しすると、もう何かをあきらめた様子だ。
「あーもう。どうにでもなれ・・・」と、スクアーロがポツリと言った。

何がどうにでもなれなのかはあたしにはわからない。
けど、話を聞いてくれるらしいから、あたしはスクアーロを談話室へ引っ張っていった。







「あ!みんな揃って談話室に居るなんて珍しいね!」

談話室へ行けば、何故かベルフェゴールにマーモンにルッスーリア、レヴィがいた。
みんなが揃うなんてことはなかなかなくて、あたしは思わずスキップする。

だ!」

ベルがあたしを見つけると、駆け寄ってきた。
あたしもそのベルめがけて走る。

「ベルーっ!」

あたしが抱きつこうとすると、ベルは寸前のところでひらりとかわした。

「あでっ」

あたしはまた転ぶことになってしまった。
な、なんだってベルといいスクアーロといいよけるわけ!?
あたしいがそんなに嫌いなのか!?

「なんで抱きつかせてくれないのー?前はじゃれあってたじゃない!」

ムッとあたしが不満を漏らすと、
スクアーロはじめ、みんなが目を見合わせ、大きな溜め息をついた。



「・・・に抱きつかれたせいで殺されそうになるのは勘弁」

ベルはシシシと笑う。

「・・・よくわかんないんだけど・・・」

のにぶちん」

「えぇぇええ!?」

ますますわけがわからん。
あたしは首を傾げることしか出来ない。




「あ、それより!みんなに話があるんだった!」

「知ってる。日本に行くんでしょ?」

あたしの言葉に間髪要れずに返してきたのはマーモン。

「何で知ってるの!?」

ガバッとみんなの方へ寄れば、一歩下がるみんな。
・・・やっぱりちょっと傷付く。

はっ、もしかしてさっきの「に抱き疲れたら死ぬ」って
あたしに何か触ることで伝染するような不治の病にかかるってこと!?
あたし、もう少しで死んじゃうから、ボスも日本に行けとかって言ってるってこと!?

、口に出てる」

「ちなみに、のことが嫌いだからでも不治の病だからでもないわよ」

と、言ったのはレヴィとルッスーリア。

「じゃあ他に、どんな理由があるっていうの?」

「・・・・・・ボスが、ね・・・」

言いづらそうにマーモンがそう言った。
けれども、それよりも先には言葉がなかった。





ボスが、原因??
なんで??

あたしにはさっぱりだった。




そしてあたしは、この疑問を胸の片隅にしまったまま、日本へ行くことになる。

が、とりあえずはみんなとの別れを惜しもうと、
あたしは嫌がるみんなを無視して、一人一人に抱きついてやった。









07/03/19
実は密かに好きなキャラ上位に居るXANXUS夢でっした!
ザンザスさんは表立って好意はださないけれど、
きちんと行動で示すような感じかなーって思ってます^^

ノープランナーらたが、あわよくば連載にしようと書き出したものです!
続きが出来てきて、もし数が増えたら別部屋っぽいの作ってみようと思います。