あたしは同じクラスの神宗一郎君が好きだ。 彼の優しい笑顔が見れたりなんかすると、それだけでもうお腹いっぱい。 最初は別に、そんなに気にはしていなかった。 ただ、なんとなく彼とはよく目が合うなぁって思っていたんだ。 そう思ってきたときに、一度だけ、ばっちりと目が合ったときがあった。 何かを話すわけでもなく、ただ神君は微笑んだ。 今日のHRで行った席替え。 あたしは自分のくじ運に感動を覚えた。 だ、だって・・・! 窓際の一番後ろという最高の席。 皆がくじを引き終えて、席を移動させる。 もうあたしは嬉しくて仕方がない。 ここなら授業中寝てても絶対ばれないし。 落書きとかもし放題かな! 隣の席は誰かな〜? すばやく席移動を完了させたあたしは、頬杖を付きながら隣の席に目を配らせた。 「・・・よろしく、さん」 そして、隣にやってきた人物に、一瞬言葉を無くす。 ええ!? あたし、こんなについてていいの!? 「・・・さん・・・?」 不思議そうに首を傾げる隣人に、あたしははっとして挨拶をする。 「・・・よ、よろしく!じ、神君」 そう。 なんとあの神君が、あたしの隣の席で腰を下ろしているんです・・・! 夢?夢?? あたしはそっと自分の腕をつねる。 ・・・痛かった。 ゆ、夢じゃない・・・! その日から、あたしのハッピーライフが始まった!! ・・・と、思っていたんだけど。 バチッ また、目が合った。 ドキリと心臓が音を立てる。 ・・・な、なんなんだろう。 最近、すごい見られてるような気がする。 ・・・・・・じ、神君に・・・。 いや、でも、気のせいだったら嫌だしな。 あたしは、妙な緊張に苛まれてしまっていて、 これだったら隣なんてなるもんじゃないなぁなんて思っていた。 あたしだって、そんなに頻繁に神君を見てるわけじゃない。 教室のドアが開いたりするときに、視線の端に彼がうつるとか、 友達に呼ばれたときに視線の端に彼がうつるとか、そんな感じだ。 ・・・でも、そんな些細なことがあるたびに、神君がこちらを見てるのを感じる。 そんなことを感じながら、今日は日直がまわってきた。 うちのクラスでは隣の席の人とペアになって日直をすることになっている。 ・・・つまり、神君と二人で日直。 嬉しい反面、あたしはなんとなく気まずさを覚えていた。 だって、神君とよく目が合うのに、あたしは神君とあまり話したことがないから。 ・・・ええ。根性なしですよ。 神君と話すと緊張してしまう。 いや、それ以前に、休み時間になると女の子たちが神君の周りを囲んじゃうわけです。 あたしは、女の子たちのパワーに圧倒されて、 休み時間は友達の席に移動して過ごしてるから。 だから、神君と話をする機会が、隣の席の癖に少ない。 授業中に、ちょっと会話をする程度。 果たして、日直の仕事中、あたしの心臓は持ってくれるのだろうか。 ここも、大問題だ。 西日の差す教室で、サラサラとペンを動かす神君。 あたしは、神君の前の席に腰掛けて、椅子ごと神君の方を向いている。 隣同士で書くよりも、その方が日誌を見やすいし、交代しながらも書けるから、 と、神君が言ったからだ。 あたしはそんな彼の指先を見つめている。 バスケしてる割に指綺麗だよなー・・・なんて考えながら。 日直の仕事もなんとか最後の日誌を書く段階までたどり着いた。 気まずいと感じていた仕事も、実際は全然そんなことなかった。 一方的に神君を意識していたみたいで、ちょっと恥ずかしい。 思っていたよりも普通に神君と会話をしている自分を心の中で褒めた。 「さん、今日の古典の授業の感想は?」 ふいに、ペンを止め、あたしに質問を問いかけた神君。 「・・・え。・・・えーっと・・・」 でも・・・。 今日の古典はほとんど夢の中だったため、授業内容を思い出せない。 どうしよう。 神君に「授業ぐらいちゃんと聞いたら?」とか言われたら!! 返答に困っているあたしを見て、神君はプッと噴き出した。 「ごめん、さん!ちょっとイジワルしちゃった」 あはは、と笑いながら神君はそう言った。 「・・・い、いじわる・・・?」 「そう。さん、古典のとき、すごい気持ちよさそうに寝てたからさー」 「!!気づいてた!?」 「うん」 かあぁと赤くなる顔。 神君にそんなところも見られてたなんて・・・! 「かわいいなぁって思って見てた」 にっこりと優しい笑顔を向けながら、神君は言った。 ますます赤くなるあたしの顔。 「じ、神君・・・!」 「赤くなってる。かわいいなぁ」 すっと、神君の腕があたしの頭に伸びてくる。 彼の長い指が、あたしの髪の毛に絡まる。 見た目よりもゴツゴツとした手で、あたしの頭を優しくなでた。 あたしは神君の行動についていけなくて、恥ずかしくて俯いた。 「じ、神君・・・あんまりからかわないでよ・・・」 あたしは、何とか声を絞り出した。 すると神君は、あたしの頭を撫でていた手をあたしの頬に当てた。 「・・・からかってないよ。ずっとかわいいなって、見てた」 「・・・・・・え」 あたしは、驚いて神君を見上げた。 先ほどよりもずっと近くに神君の綺麗な顔がある。 「・・・ずっと、見てた。さんのこと」 神君の綺麗な瞳をあたしは吸い込まれるかのように見つめた。 「さんだって、気づいてたでしょ?俺の熱い視線」 「・・・・・・き、気のせいなんじゃないかって思ってた・・・」 「気のせいじゃないよ」 そして、そんな神君の瞳が、ふっと優しくなる。 「ねぇ、さん。・・・好きだよ。・・・俺と付き合って?」 あたしは夢でも見てるんだろうか。 でも、あたたかく湿った唇の感触は妙にリアルで、 あたしはこれが嘘じゃないんだと確信できた。 「・・・あの・・・」 ゆっくりと神君の唇が離れた後、あたしは赤い顔を抑えながら声を絞り出した。 「何?」 神君はいつもと変わらないで優しく微笑んでいる。 「・・・まだ、返事もしてなかったんだけど・・・」 「嫌だった?」 神君に、あたしはぶんぶんと首を横に振った。 「さん」 「な・・・」 何?と、いい終わらないうちに、また重なった唇。 ますます赤くなるあたしの顔。 ・・・こんな綺麗な顔に見つめられて、 あたしがそれに慣れる日なんて、果たしてくるのだろうかと思いながら あたしは神君のキスに答えていた。 06/10/23 SDでも好きなキャラトップ3に入ります、神夢! 神さんは黒いのが好きなんですが・・・黒く書くのって難しい・・・! 一応これも黒を目指していたはずが、気づけば限りなく白に近い灰色に・・・(泣) 神サイドも只今構想中です☆ 出来上がったらそれもあわせて読んでいただけたら嬉しいです! |