あれから、あたしと三井は友達同士に戻った。







・・・そう、思っていたんだけど・・・。





三井はどこか吹っ切れたようで、
あたしに「部活見に来い」だとか「練習終わるまで待ってろ」だとかよく言って来る。


三井曰く、「ぜってぇが俺のこと好きになるようにしてやる」だそうだ。











あたしの涙を返してくれ。

いや、でもあの時の三井の表情は本当に辛そうだったから・・・
たぶん、いまも少し・・・もしかしたらかなり無理してるんじゃないかと思う。



















伝 わ れ 、 キ ミ へ


















三井はモテる。
・・・そりゃあ、前まではヤンキーだったから話し掛ける人は少なかったけど。

あたしは高3になって、初めて三井と同じクラスになって、隣の席になったとき、初めて三井と話をした。
最初はおっかなびっくりって感じだったけど・・・

あたしが落とした消しゴムをわざわざ拾ってくれたり、
授業中にボーっとしてて先生に当てられたときはこっそりどのページをしているのか教えてくれた。
(ちなみに三井が授業に出てるのはかなり珍しい光景だった)
当時のあたしは、こんなヤンキーも居るのかとちょっと感心していた。


・・・っと。じゃっかん話が飛んだけど、三井はモテるわけだ。
髪を切って、更生してからは、クラスメイトにも馴染んできて、割と誰とでも話をするようになってきて。

あの容姿だし、まぁ自意識過剰というかナルシストな面は否定しないけど、気さくだし。
モテるわけです。





・・・だから、なんであたしなんだろうって、最近よく考える。













だって、ほら。
三井になら可愛い子がいくらでも寄ってくるでしょ。

こんな風に。




「・・・あの・・・三井くん・・・」




場所は、昼休みの中庭。
別に、覗いてるわけじゃなくて、たまたま通りがかっただけ。
図書室に行くには、この中庭沿いにある廊下を通らないといけないから。

・・・タイミング悪すぎだよ、あたし・・・。


あたしは小さくため息をついた。
あと10分くらいしたら、図書室へ行こう。






そう思って、踵を返そうとした瞬間。
女の子は、三井の胸に飛び込んだ。














あたしは、何故だか走り出してた。




当てもなく走って、たどり着いた先は屋上。
今日は日差しが強いから、屋上には人は少ない。

あたしは、まだらに居る人たちにばれないように、こっそりと隅っこに座り込んだ。



うん。あれだ。やっぱり三井はモテる。
あの女の子も相当可愛かった。女のあたしですら、惚れそうになる。


あたしなんて、可愛くないし、性格だってこんなんだし・・・
三井とは全然つりあわないよ。
うん。そんなのわかってる。







三井はなんて返事をしたんだろう。

三井はあたしに好きだといってくれたけど、あたしは三井をひどく傷つけた。
あたしには三井を止める権利がない。






権利がないってわかってる。




でも、涙が出る。






心が、ズキズキと痛む。





うん。本当はどこかで気づいてたんだ。自分の気持ち。

いい加減、認めるよ。



















あたし、三井が好きだ。



























「おい、今日図書当番だろ。何サボってんだ」


屋上の隅っこで、体育座りで自分の膝にぐっとおでこをくっつけていたあたしに降りかかってきた声。



「みつい・・・・・・」


あたしは思わず顔を上げた。



「うわっ。ひでぇ顔」

苦笑する三井。
何なんだよ、コイツは。

ああ、つか、泣いてたのバレバレだよね。


「うるさいー・・・顔なんて生まれつきひどいよ」

反論を試みるものの、いつものような勢いなんて到底無理で。
言いながらあたしは、俯いた。




ああ。何でこんなところ三井に見られなきゃなんないの。
恥ずかしすぎだよ、自分。

・・・でも、三井がココに来てくれたことがたまらなく嬉しかったりもする。



「うー」と、少し声を漏らしたあたし。
そんなあたしを見て、三井はあたしの隣に座ると、ポンポンと頭を撫でた。


「あのな、。俺、自惚れてるんだけど」

「・・・?」


話し出すと思いきや、いきなりナルシスト全開ですか。
あたしはちらりと三井の顔を見た。







・・・真っ赤。





「・・・三井・・・?」

どうしたのかと思い、首を傾げるあたしを見て、三井はちょっと目をそらした。


「・・・さっき、中庭の近くに居たろ?」

「・・・・・・」


気づかれてた・・・?


「・・・まぁ、告られてたんだけど、すぐに断ったわけだ」


三井は自分の手を口元に当てると、恥ずかしそうに話を続けた。


「で、お前がたまたま通りかかって、声掛けようとしたら女が抱きついてきて・・・」

「・・・・・・」

「お前、それ見て、どっかに走って行っただろ?」



そして、探し出したこの屋上で、泣いているあたしを見つけた。




「・・・もしかしたら、俺、ちょっと可能性あるんじゃねぇかとか思っちまった」




あたしは、耳まで真っ赤になっていくのが自分でもわかった。
三井はまだ、あたしを好きだといってくれてるんだ。



それが、嬉しい。










「・・・・・・きだから・・・」


あたしは、やっとのことで声を絞り出した。
言わなきゃ、言わなきゃ。

自分に頑張れと何度も勇気付ける。






「・・・あ、あたし、三井が好きだから・・・」





顔が真っ赤なのはわかる。
でも、この言葉は、しっかりと三井の目を見て言いたかったから・・・
あたしは、三井から視線をそらさずにそう言った。



「・・・・・・マジ?」

三井は目を見開くと、間の抜けた声で聞き返す。
あたしは、「マジ」と、声にならないほど小さな声で言いながらうなずいた。





ただでさえ、赤かった三井の顔が、前以上に赤くなる。
それは、あたしも同じだけど。



「・・・・・・やっべ。嬉しすぎんだけど・・・」


三井は、そう言いながら、あたしを横から抱き締めた。
三井の鼓動が伝わってくる。

前に抱き締められたときとは、全く別の感情があたしの中に流れ込む。





きゅうと胸が締め付けられるんだけど、それがすごく心地よくて。


すっと、三井の手のひらが、優しくあたしの頬を包む。








「・・・今度は、拒まねぇよな?」



あたしは、返事をする代わりに、そっと目を閉じた。














06/08/25
最終話アップ!うおー・・・終わってよかったです(爆)

自分の気持ちって実はよくわからないものだよね、というのを書きたかったんですが・・・
そこらへん、全然表現できてませんよねぇ。
文才が欲しいです。はい。